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教育を変える「デジタル教科書」という革命

こんにちは。

西野です。

 

さっそくですが、デジタル教科書ってご存知ですか?

 

名前の通りなのですが、実は昨今、学校教育で使う教科書を電子化しようという動きが活発になってきています。

電子書籍をはじめ、紙媒体のものはどんどん電子化する流れになっていますね。会社なんかでも、電子申請とか電子承認とか、ペーパレスを推進する向きが強くなってきています。確かに紙とは違い、劣化の心配もなければ、整理のしやすさなど、利便性の高さが魅力的です。

学校教育におけるこういった流れは、電子書籍市場が拡大していることも影響しているのではないでしょうか。

 

今回は、学校教育に持ち込まれつつある電子化の動きと、それで何が変わっていくのかをまとめました。

 

目次

 

1、デジタル教科書とは?

2、デジタル教科書で何が変わる?

3、導入状況

4、本格的な導入はいつ?

5、今後の課題

6、まとめ

 

 

1、デジタル教科書とは?

 

僕がはじめて抱いたデジタル教科書のイメージは、KindleiPad的なタブレット端末に教科書が入っていて、単純に紙教科書の代わりにして授業をするというものでした。

しかしどうやら少し違うようで、そもそも生徒用と教師用に分けられているようです。

 

文部科学省によれば、

 

「学習者用デジタル教科書」

  主に子供たちが個々の情報端末で学習するためのデジタル教科書

「指導者用デジタル教科書」

  主に教員が電子黒板等により子供たちに提示して指導するためのデジタル教科書

 

というように分けられています。

 

単にデジタル教科書といっても、生徒が情報端末上でページをめくるだけのものではありません。先生も電子黒板を使用します。タブレット端末なので、それこそ動画なども自由に駆使して授業展開ができるようになるのです。

 

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 2、デジタル教科書で何が変わる?

 

まずは、生徒個人ごとの学習進捗度を把握しやすくなります。

というのも、デジタル端末は情報をどんどん蓄積していきます。テストの成績もそうですが、ドリルによる学習の理解度や復習履歴など、生徒の使用するデジタル教科書内のデータを一括管理すれば、誰がどこを理解していないのか、どれくらい理解が遅れているのか、すべて先生が把握することができるようになります。これによって、生徒個々人に合わせた授業カリキュラムを組むこともできるようになります。

 

次に、授業が理解しやすくなります。

例えば、地理の授業なんかで地図を見る時も、紙の教科書では平面的で見る方向も決まっていました。それもデジタル化することで、タブレット上で自ら地図の拡大縮小や方向の変換などを行い、立体的な理解を促すことができるようになります。

デジタル教科書の導入は、「頭の中で理解する授業」から、「体感的に理解する授業」への転換になるのではないでしょうか。

 

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3、導入事例

 

現在、政府が主体になって導入するところに至ってはいないものの、「デジタル教科書教材協議会(DiTT)」のホームページ内では、全国の自治体による個別の導入事例などの紹介をしています。

ditt.jp

例えば、東京都北区の桜丘中学・高等学校では、2014年までに教員・生徒にiPadを支給し、現在までに理科の実験動画による授業など、そのICT(情報通信技術)を駆使した授業で人気を博しています。同校では、部活動でもタブレット端末の利用が活発で、運動部や吹奏楽部などでは録画・録音した映像を自主練習の資料にしたり、新聞部ではWEB新聞の発刊を行っています。

また、那須塩原市では、来年度から3年間で、小学5年生から中学3年生に向けてタブレット端末5500台を配備することを決定しました。

 

 

4、本格的な導入はいつ?

 

実はこのデジタル教科書のアイディアは、2009年12月に総務省がまとめた原口ビジョンが出発点になっています。当時の原口総務大臣は、「2015年をめどに全国の小中学生全員にデジタル教科書を配備する」と明言しました。

 

もう2015年になってしまいましたが、まだ全国導入にはいたっていないですよね。実は導入といっても一筋縄ではいかない問題があります。

 

まず、誰がその費用を負担するのか。

生徒用のデジタル教科書は、1台19,000円程度と見込まれています。全国の小中学校に支給するとなると莫大な費用になってしまいます。

ではその購入にかかる費用は、国が全額負担するのか、地方自治体が学校の備品として購入するのか、各家庭が負担するのか、そのあたりがまだ明確になっていません。

 

さらに、デジタル教科書を使用するには、十分なネットワーク環境が必要です。

ネットワークインフラの整備には、またまた膨大な費用と、そして時間がかかってしまいます。そのあたりも、国の予算でどうにかなるのか、まだ不透明なところです。

 

デジタル教科書は法律で認められない?

実は、教科書の定義とは、法律上で「図書」となっています。「図書」というのは、紙のことです。現行法では、デジタル教科書はあくまでも紙の教科書のサポート的な存在にしかなれないのです。ということはそもそも、法律をデジタル社会に置き換える議論も同時平行で行う必要がでてきますね。

 

「2020年を目処に」、ということが言われ始めましたが、現状のままでは実現可能か危ぶまれているところです。

 

 

5、今後の課題

 

現状では、デジタル教科書の導入には、賛成派と反対派に二分しています。

反対の大きな要因としては、「指導方法や教育成果の研究があいまいなまま進めてしまうことへの危惧」、があるかと思います。

確かに、現在、先ほど紹介した学校のような事例はあるのですが、それはあくまでも学校独自の取り組みであって、一般的な学校がどこでも行えるようなシステムが検討されているとは言えないかも知れません。

さらには、デジタル化することで、「集中力が散漫になることへの懸念」も挙げられているようです。

折り合いをつける、というのは難しいと思いますが、双方が納得できる実証データの提出など、十分な裏づけが必要になっています。

また、現在はDiTTをはじめとした、この問題に関わる団体の行動が活発になっていますが、どのタイミングでどれだけの予算を割くのか、国の主導力が課題になっているのかなと思います。

 

 

6、まとめ

 

ほんの10数年ほど前、僕がまだ高校生だった当時は、学校に携帯電話を持ってくることすら禁止され、先生に没収されたりしていました。

それがこの短期間で、デジタル教科書の導入に関する議論まで起こり、ますますデジタルの考え方が生活の隅々にまでいきわたってきています。

 

紙で学習することで得られる成果と、デジタルで学習することで得られる成果、どちらがいいとは一概に言えるものではないと思います。

ただ、ICT(情報通信技術)と、それを活かした電子書籍の台頭によって、教育の形態と考え方をシフトさせていく時期なのかなとは思います。

ほんの数年前までは紙の本をPDFにして、それを電子端末に入れて読書を楽しむ「自炊」と呼ばれるものも流行りましたが、単に書棚を整理するだけのものではなく、様々な便利な機能を備えた今、思考を整理するツールとしての電子書籍の意義を、新しく確認していくことが必要になってきていると思います。

 

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